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家具作りについて

無垢の家具は一生もの

無垢の家具は「一生ものだ」よくといわれます。それは貴重な自然素材である木と心を込めて作った匠の技への誉れの表現であると思います。 木は反ったり伸縮したり環境によって変化しますので、その変化に対応できる作りが大切ですが、いずれ調整や修理が必要になることもあるでしょう。 そのときに手をかける気持ちになるかどうかということが大切ではないでしょうか。どんどん使って、どんどん愛着が沸いて掛け替えのない一品として、 一生どころか何代にも渡って使い続けられることを夢みています。一生懸命作りますので、どうぞよろしくお願いします。

手工具

材木選び

原木の様子。サクラ
道産山桜の原木 どれにしようか?結局全部頂いた。

人が一人一人皆違うように、木も一本一本個性があります。特に広葉樹は同じ樹種でも丸太が違えば、 えっ!これ同じサクラの木?という驚きがあったり、同じ丸太から切り出した板でも場所が違うと全然風合いが違ったり、 板の裏と表と全然風合いが異なることもしばしばです。それぞれの木の個性をできるだけ作品に生かしたい。 そのためにもできるだけ原木の丸太で購入しています。 同じ丸太から切り出した材は「共木(ともぎ)」といい、適材適所の使い方ができますので、よりグレードの高い作品が期待できます。 年々良質の丸太が減ってきているようで材木屋さんから「良い丸太がでたよ」という連絡があると、ほいほいと飛んで行きます。

丸太の説明を聞く
丸太の説明を聞く(ミズナラ)・・・結局後ろの3本頂いた

丸太の姿をみて、素性を見極めるにはかなりの経験が必要です。 木口(断面)や樹皮の状態から中身を予想するわけですが、製材してみると中に大きな節や腐れなどがあり、一瞬期待はずれのこともしばしばです。 それはそれで折角の出会いですので、個性を生かせるようにといろいろ想像力が働いて楽しいものです。

原木の状態を記録
原木を眺めて(サクラ)各丸太の製材の方法を決定する

既に製材され乾燥済みの材(既製品)を購入する場合もあります。既製品の場合は必要な量だけ入手することもでき、 扱いやすいこともありますが、樹種が限られたり、希望のサイズが入手できないこともしばしばです。 まれに、一本の丸太からストックした素性のわかる既製品にも出会いますが、単価が高かったり、特に貴重な一枚板は、 かなりの高額で流通することになります。北海道材では、ナラやタモは既製品として流通していますが、 サクラやクルミ、イタヤカエデなどは、ほとんど丸太でしか入手できません。がこれまたどんどん少なくなってきているようです。 一方アメリカ材のブラックウォールナットやチェリーは、こちらは既製品としての流通がメインですが、 グルッペでは貴重な丸太のストックもあり自慢のひとつです。

製材・乾燥

丸太の製材は、大きな製材所で行ないます。貴重な丸太を活かすも殺すもまず、最初どこから鋸をいれるかで決まります。 「こういう風に切って!」「ここは天板に使ってくれー!」という木の声?に五感を傾けます。切り出されていく板の様子をみて、 次のカットをどうするか。とっさの判断が必要です。 製材は緊張はしますが、わくわくする楽しい時間です。 でも・・・製材したからといってすぐに使えるわけではありません。乾燥させないと使えないのです。

製材の瞬間
製材の瞬間。ワクワクドキドキの真剣勝負。

割れや反りを押さえ虫の餌にならないよう、「桟積み」「乾燥」は結構大変で難しい仕事です。 通常は工房の敷地内で最低一年以上自然乾燥させた後、使いたい分を人工乾燥に入れるという流れです。 最近は製材後そのまま預けて、低温で優しく人工乾燥してもらうという方法が多くなりました。 いずれにしても、その間に反ったり割れたりなかなか思った通りにはいきません。 やっとのことで使える状態になって、ここからまた家具材への適材適所の木取りへの 格闘が始まります。通常「製作」というイメージでは、すでに「板」があって、 それを鋸やノミや鉋を使って作っていくというイメージがありますが、殊に無垢材に於いては、 加工する板を準備するまでが大切であり大変であり、それがまた楽しい工程なのです。

製材したてのクルミ
製材したてのクルミ材。感激と安堵。乾燥は業者に依頼。
一抹の不安。うまくいきますように・・・
乾燥後のクルミ
一年後、乾燥が終わった材を2tトラックをレンタルして工房に運びます。よーやく使えるぞ・・・
乾燥後もう一度丸太に戻してみる。
工房に運び込んだ乾燥材をもう一度丸太に戻してみる。
最高に楽しいパズルですが・・・(キハダ)

グルッペ主な使っている材はクルミ、サクラ、ナラ、イタヤカエデ、キハダ、タモなど北海道や東北産の広葉樹と 針葉樹ではアカエゾマツ、ヒノキなど、 外国産ではブラックウォールナット、チェリー、メープルなど北米産広葉樹と 南洋材のマホガニーなどです。それぞれの木の特徴については木の話を御覧ください。

設計・デザイン

シンプルで使い易く、丈夫で長持ち。木の個性を生かした家具をめざしています。 シンプルでかつ丈夫に作ることは意外に難しいもので、相反することへの挑戦もしばしばです。 機能美の追求です。

注文製作の場合は寸法や機能、木へのこだわりなど、みなさんと打ち合わせてデザインしていきます。 実際にはどんな材を使うかでイメージが変わってきます。材ありきでそれに合ったデザインになることもしばしばです。 完成してみないとわからないところがあり。高価な注文を頂くのに誠に申し訳ないと思いますが、 そのへんはおおらかに楽しんでご期待していただければ幸いです。

天板の節
節をそのまま生かした机の天板

節について・・・枝の無い木はありません。枝の根っこが節ですから、節は無垢の木である証しです。 一般的には節なしが珍重されますが、確かに作る方としても作りやすいのですが、 当然貴重になりますのでやむなく節の部分を使うこともしばしばです。 でも、節のまわりは木目が入り組んでいて美しく、結果的に生命力溢れる素敵な家具になることもしばしばです。 そのまま使う場合や埋木をして楽しみます。
干割れについて・・・乾燥時にどうしても干割れが入ります。貴重な一枚板など、干割れをカットするといかにももったいない時は、むしろ千切りなどを埋木して使います。 返って手はかかりますが、資源を大切にという気持ちと、個性を生かすという両面から楽しんでいただきたいと思います。

埋木と千切り
節や干割れに千切りを埋めます。手はかかりますが・・・
埋木の完成
自然の暖かみと手をかけた暖かみがいい感じなりました。

加工・仕口

昔からの技術を大切にしながら新しい技術にも挑戦しています。 古来から東西問わず用いられている技の一つで 「吸い付き桟」という技が好きです。 天板などの反り止めと脚を締結する役目をもち、 乾燥するほど締まっていくように勾配をつけて加工します。

通し吸付き
天板の反り止めと接合を兼ねる通しタイプの吸付き桟」
乾燥後のクルミ
両側から挟みこむタイプの吸付き桟(BWブックマッチ)

現代はいろんな電動工具や金具それに接着剤が開発されていますので、「シンプルで使い易く、丈夫で長持ち。」のためにも 臨機応変に使いこなしていくことも大事なことです。板を横方向に繋ぐ「板矧ぎ」は以前は「ヤトイザネ」が主流でしたが、 現在はビスケットジョイントシステムと、強力なウレタン系のボンドの併用で矧切れの心配から気持ち開放されました。 また3年ほど前にドミノジョイントという画期的なホゾ組の工具を導入したおかげで、より精度よく丈夫に、 そして何より貴重な材を有効に使ういろんなアイデアが浮かび助かっています。でもなんといっても手工具の鉋は最後の仕上げにかかせません。 研ぎと台の調整と力の入れ方など奥の深い道具で、 うまくかかった時の喜びはプロの職人としての誇りを感じます。健康のためにも極めていきたいと思っています。 話せば切りがない世界ですのでこのへんで・・・

091011
ビスケットジョイント。工具にも各社それぞれ個性がある。
091011
ビスケット+白ボンド+ウレタンボンド併用で板矧ぎ

塗装・オイル仕上げ

塗装の目的のひとつは汚れや傷から木を保護することにありますが、木の表面を塗料でがちがちに覆ってしまっては、 折角の無垢材の素地の風合いを損ねてしまいます。ある程度汚れても傷がついてもそれが良さとなり、 使い込んで味わいをだしていくオイルフィニッシュを勧めています。オイルは木にしみ込んで酸化作用で固まります。表面に塗膜を作るのではなくオイルが木にしみ込んでいるだけなので、 木の暖かみ質感を損なうことなく濡れ色に深まり、素地を美しく見せる効果も兼ねます。ただどうしても染みが残りますし、またオイル分がとれてきてメンテナスも必要になります。
そこで最近はウレタン塗装でもオイル仕上げに近い感触の方法があり、汚れがつきにくい方が良い、メンテナンスが楽な方が良い場合はお勧めです。「自然オイルで!」と決めている方も是非ご相談ください。

オイルフィニッシュ
オイルフィニッシュ・私の健康のためにも安全なオイルで。
  • 無塗装・着色仕上げ・・・オイルフィニッシュは荒っぽく言えばあらかじめオイルで美しく汚しているという考えもできますので、 全く無塗装の状態で、お客さんの方で、使いながら、いろんな食品をこぼして(染めて)味をだしていく方法もあります・・・勇気はいりますが結構楽しいものです。

  • ワックス仕上げ・・・オイルフィニッシュは素地の色が濡れ色に深まりますので、ワックス仕上げにして、濡れ色を抑える方法もあります。

  • ウレタン仕上げ・・・オイルフィニッシュの風合いは好きだけれど、やっぱり汚れは付きにくい方がいいわという方にはウレタンも使います

使っているオイル・塗料の種類

オイルフィニッシュ
グルッペで使っているオイルいろいろ

<グルッペで使っている自然系植物性オイル>

  • オスモ社のウッドワックス3101
  • リボス社のアルドボス、クノス
  • プラネットカラーのグロスクリアー
  • ワトコオイル
  • <自然系ワックス>
  • ワックス(リボス社のグレイボ・ビボス)など
  • メンテナンス用ワックス・・リボスのグラノス
  • <ウレタン塗料>
  • 寿化工の木固めエース
  • オリオ2(キャピタルペイント社)


  • 家具のお手入れ方法についてはこちらをどうぞ。

保証期間

商品お届けの日より、3年間を保証期間とします。 製作上の原因による実用上の不具合については、1年間は無償で修理をいたします。 それ以降は修理は無料ですが、送料、出張費などは申し訳ありませんがお客様負担とさせていただきます。 また、無垢の木の反りや伸縮による変化で実用的に大きな不具合でない場合や、不注意により生じた破損や故障の場合は 有料修理になりますのでご了承ください。何かお気付きのことやお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

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